税理士や社労士など士業の事務所では、顧問先ごとに連絡手段がバラバラになりがちです。
電話・メール・個人LINE・郵送が入り混じり、「あの件はどこで話したっけ」と探し回った経験はないでしょうか。
資料を催促する電話に追われ、確定申告や決算の繁忙期にはやり取りがパンクしてしまう事務所も少なくありません。
この記事では、顧問先連絡が非効率になる原因から、ビジネスチャットへの一元化・話題ごとの整理・資料依頼の仕組み化までを解説します。
- ・話題ごとにスレッド返信で会話を整理
- ・テーマや目的毎にチャンネル作成
- ・未導入の相手にもチャットはそのまま届く
税理士・士業の顧問先連絡が非効率になりやすい理由

まずは、顧問先との連絡がなぜ非効率になりやすいのかを整理します。原因が分かると、どこを直せばよいかが見えてきます。
連絡手段が電話・メール・個人LINEに散在している
顧問先ごとに使う手段が違うと、やり取りの記録があちこちに分散します。
過去の相談を探すだけでも手間がかかり、担当者本人しか経緯を把握していない属人化も起こりがちです。
- 日常の質問や相談は電話
- 資料の送付はメール添付
- ちょっとした連絡は個人LINE
- 契約書や納品書は郵送
電話は作業を中断させ、記録が残らない
電話は相手の状況に関係なく作業を止めてしまい、その都度こちらの集中も途切れます。
内容が記録に残らないため「言った・言わない」が起きやすく、担当者が不在だと折り返しの往復も増えていきます。
「顧問税理士と連絡がとれない」という顧問先側の不満も、電話に頼った運用の裏返しといえます。
メールは形式的な挨拶と添付のやり取りが重い
メールは毎回の宛名や時候の挨拶が必要で、一件ごとの文面を整えるだけでも地味に時間を取られます。
添付の容量制限やパスワード付きZIPの開封も煩雑で、過去のやり取りを検索しても目的のメールにたどり着きにくいものです。
こちらが送ったつもりの資料依頼も受信トレイの山に埋もれ、そのまま回収漏れにつながることがあります。
繁忙期は問い合わせと資料催促が集中してさばききれない
確定申告・年末調整・決算期には、顧問先からの問い合わせと資料の催促が一気に集中します。
連絡の仕組みが整っていない事務所ほど、この負担が繁忙期の残業として跳ね返ってきます。
顧問先連絡の効率化はチャットへの一元化から始める

散在した連絡をまとめる第一歩は、日常のやり取りをビジネスチャットに寄せることです。
連絡手段をビジネスチャットに集約する
日々の確認・相談・資料依頼といった連絡を、まずはビジネスチャットへ集約するのが効率化の出発点です。
やり取りが一か所に残るので検索性が上がり、短いメッセージで気軽に返信できるようになります。
レスポンスの速さは顧問先の満足度に直結し、ひいては事務所そのものの評価にもつながっていきます。
電話・メールは用途を決めて使い分ける
だからといって、すべての連絡をチャットに移す必要はありません。用途ごとに線引きするのがコツです。
正式な通知や証拠性が必要な連絡はメール、緊急で込み入った相談は電話、と役割を分けて残します。
電話しか使えない顧問先を無理にチャットへ移行させないことも、長く続けるうえで現実的なポイントです。
個人LINEでのやり取りは守秘義務の観点で避ける
個人LINEは仕事とプライベートが混ざりやすく、誤送信や端末の紛失といった情報漏えいのリスクを抱えます。
士業には守秘義務があり(税理士法第38条など)、個人向けツールでの顧問先連絡は避けるのが無難です。
顧問先の情報を扱う以上、業務用のツールを事務所の管理下で使うほうが、情報管理の面でも安心できます。
顧問先ごとのグループチャット設計で連絡を整理する
チャットに集約したら、次は顧問先ごとのグループをどう設計するかがカギになります。
顧問先ごとにグループチャットを作る
連絡整理の基本は、一つの顧問先につき一つのグループチャットを用意することです。
窓口の社長だけでなく経理担当など顧問先側の複数名を招待すると、社長を経由した伝言ゲームがなくなります。
事務所側の担当者も一緒に入れておけば、やり取りがそのままグループ内で共有されます。
グループ名の命名規則で一覧から探せるようにする
グループが増えても迷わないよう、名前の付け方をあらかじめルール化しておきます。
- 接頭辞をそろえる(例:〔顧問〕社名)
- 社名は正式名称で統一
- 業種や担当チーム名を添える
命名規則をそろえておけば、チャット一覧の並びや検索から、目的のグループにすぐたどり着けます。
事務所側の担当者を複数入れて属人化を防ぐ
担当者ひとりだけがやり取りを抱え込むと、その人の休暇や退職のたびに、面倒な引き継ぎが発生します。
事務所側の複数名がグループに入っていれば経緯がそのまま残るため、担当交代のときもスムーズです。
個人のメールや個人LINEでのやり取りは、こうしたブラックボックス化を招きやすくなります。
話題ごとにスレッドで残すと「あの件どこ?」がなくなる

グループにまとめても、一本のタイムラインに話題が混ざる問題は残ります。ここが一元化の次に当たる壁です。
顧問先グループは複数の話題が同時に流れて埋もれやすい
顧問先ごとにグループを分けても、その一本のタイムラインには複数の話題が同時に流れ込みます。
月次資料の催促・決算の質問・年末調整の案内・スポット相談が同じ場所に混ざって進みます。
返答待ちの依頼が新しい発言に押し流されて埋もれ、期限漏れにつながることもあります。
話題が混ざって流れる仕組みは、メッセージが流れる理由や埋もれるときの対策の記事でも詳しく解説しています。
話題ごとにスレッドで分けて経緯を残す
「12月決算の件」「年末調整の資料」のように、話題ごとにスレッドへ分けると依頼や相談が流れにくくなります。
経緯が一か所にまとまるので後から見ても文脈を追いやすく、顧問先への説明や言った・言わないの防止にも役立ちます。
ただしChatworkには、話題ごとに会話を枝分かれさせるスレッド表示が標準では用意されていません。
スレッド表示そのものの仕組みや使い方は、スレッドの解説記事でもくわしく紹介しています。
この機能はChromeの拡張機能で後付けでき、いつものChatwork画面のまま話題ごとに整理できます。
拡張機能の入れ方や選び方は、Chatworkの拡張機能をまとめた記事も参考になります。
なかでも「スレッドワーク」は、Chatwork公式が提供するものではない、スレッド表示とチャンネルを追加するChrome拡張です。
スレッドワーク|クレカ不要で無料登録・スレッド表示&チャンネル追加の拡張機能

スレッドワークはChatworkにスレッド機能とチャンネル作成ができるChrome拡張機能です。普段の画面のままで、メッセージごとのスレッド返信・チャンネル作成が使え、ChattGPTやClaudeなどの生成AIと連携できます。
- 流れる会話をスレッドスレッド表示・返信(Slackと同じ感覚で使える)
- テーマ・話題ごとにチャンネル作成で会話を整理
- 相手が未導入でも使える ※中核特許技術
- ChatGPTなどの生成AIと連携で要約・チャットボットで自動化
Chatworkの「流れる・埋もれる・遡れない」という3つの問題を、ルーム構成を変えずに解決することを目的に開発しています。導入から利用開始まで最短1分で使えるようになります。
- Google登録・Chatworkアカウントと連携する
- 普段のChatwork画面でスレッド返信・チャンネル作成
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重要な決定事項はタスクやピン留めでも残す
期日が動く、金額が決まるといった重要な決定事項は、タスク化やメッセージの固定で二重に残すと安心です。
顧問先が無料プランの場合、メッセージの閲覧は直近40日以内・最新5,000件までに制限される点にも注意が必要です。
決算をまたぐような長い相談では、後から見返せる残し方を意識して設計しておきましょう。
資料依頼・書類授受のやり取りを仕組み化する

顧問先連絡でとくに手間がかかるのが、資料の依頼と書類の受け渡しです。ここを仕組みにすると負担が大きく減ります。
資料依頼はタスク化して期限を見える化する
「お願いしたはず」を防ぐには、資料依頼を口頭やメールで終わらせず、タスクとして登録します。
依頼と同時に期限と担当を決めておけば、タスク一覧がそのまま未回収リストとして機能します。
誰の分の資料がまだ届いていないのかを、タスク一覧からひと目で確認できるようになります。
書類はチャットのファイル共有でやり取りする
書類はメール添付やパスワード付きZIPをやめ、チャットのファイル共有で受け渡します。
過去のファイルもグループ内から検索でき、「どのメールに添付したか」を探す手間がなくなります。
マイナンバーなど機微な情報は、専用ストレージや権限管理を使い分けるのも選択肢です。
会計データは会計ソフトの共有機能を併用する
仕訳や元帳といった会計データは、会計ソフト側の共有・連携機能でやり取りするのが本筋です。
弥生やfreeeなどのクラウド会計ソフトには、会計事務所と顧問先がデータを共有できる仕組みが用意されています。
会計データは各ソフト、日々の連絡はチャット、と役割を分けておくと情報が混乱しません。
定型連絡のテンプレート化で繁忙期の負担を減らす
顧問先連絡には、毎月・毎年くり返す定型のやり取りが多く含まれます。ここをテンプレ化すると繁忙期が楽になります。
月次・年末調整・確定申告の案内文はテンプレを用意する
毎月・毎年くり返す同じような依頼は、案内文をテンプレート化して使い回すのが基本です。
月次資料の依頼、年末調整の案内、確定申告の必要書類など、定型の連絡ほどテンプレ化の効果が大きくなります。
メールの宛名や挨拶文に悩む時間も、チャットとテンプレの組み合わせでほぼなくせます。
よくある質問は先回りして案内する
問い合わせが来てから答えるのではなく、先回りして案内すると連絡量そのものが減ります。
「今月の提出物と期限」をあらかじめ流しておけば、同じ質問の電話や個別対応を減らせます。
グループへの一斉案内を使えば、複数の顧問先にも一回の投稿で同じ内容をまとめて伝えられます。
顧問先との連絡に使うチャットツールの選び方
顧問先連絡に使うチャットツールは、次のような軸で選ぶと大きく外しません。
- 顧問先を招待しやすいか
- ITに不慣れでも使えるか
- タスクやファイル共有の機能があるか
士業ではChatworkが定番で、公式サイトでも士業向けの導入事例が多く紹介されています。
具体的なツールの比較や士業特化型サービスの詳細は別記事で扱うため、本記事では選び方の要点にとどめます。
税理士・士業の顧問先連絡に関するよくある質問
顧問先にチャットの料金はかかりますか?
主要なビジネスチャットには無料プランがあり、顧問先は無料のまま招待できる場合が多いです。ただし招待できる人数や機能には上限があり、顧問先が多い事務所では事務所側が有料プランを契約するのが現実的です。顧問先側に費用が発生しない組み合わせを選ぶとよいでしょう。
顧問先がITに不慣れでもチャットに移行できますか?
移行できます。全顧問先を一度に切り替えるのではなく、新規契約の顧問先から段階的に導入するとつまずきにくくなります。案内文をテンプレート化し、初期設定の手順を丁寧に示せば、ITが得意でない顧問先でも無理なく使い始められます。
一番安全なチャットアプリはどれですか?
業務では、個人向けアプリの暗号化の強さを比べるより、アカウント管理やアクセス制御といった管理機能のあるビジネスチャットを、事務所の管理下で使うことが大切です。誰が入っているかを把握でき、退職時に権限を外せる運用のほうが、実務上の安全につながります。
TKCチャットとは何ですか?
TKCチャットは、会計事務所向けシステムであるOMSクラウドのオプション機能で、主に所内のコミュニケーションを想定したものです。顧問先との日常的な連絡には汎用のビジネスチャットを使う事務所が多く、用途によって棲み分けるのが一般的です。
電話やメールを完全にやめるべきですか?
やめる必要はありません。緊急の連絡は電話、正式な通知や証拠を残したい連絡はメール、と役割を残しておきます。日常の確認や資料の授受をチャットへ寄せ、それぞれの用途を線引きすることが、顧問先連絡の効率化の本体になります。
まとめ|顧問先連絡は「一元化×話題ごとの整理」で仕組み化する
顧問先連絡の非効率は、電話・メール・個人LINEへ手段が散在することから生まれます。
まずはビジネスチャットへ一元化し、顧問先ごとのグループと話題ごとのスレッドで整理するのが基本の形です。
そのうえで資料依頼のタスク化と定型連絡のテンプレ化を重ねれば、繁忙期の負担も着実に減らせます。
「一元化」と「話題ごとの整理」をセットで仕組みにすることが、顧問先連絡を安定させる近道です。
スレッドワークは、Chatworkにスレッドとチャンネルを追加するChrome拡張機能です。Chromeウェブストアで公開中です。
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「あの件どうなった?」を、今日で終わりに。
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